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「江戸の水」は三馬の店の看板商品である。「にせの水にご注意」と忠告を 出したほどの人気商品だった。粋な都会の水である「江戸の水」を使えば、いかにも 美しくあかぬけてきそうな感じである。このネーミングのよさもさることながら、 当時では珍しいガラス瓶を使ったパッケージも、おしゃれな化粧品というイメージを 作りあげた。この本は自らの商品を草双紙の題名にした、自分の店のための景物本で ある

     

花魁道中

   

 

 


よし原日本堤/
歌川広重「名所江戸百景」より

 台東区千束四丁目に昔の吉原はあった。ここへ行くのには日本堤という山谷 堀・吉原・三の輪まで間が八丁つづいていた土手を通る。俗にこれを土手八丁とい う。吉原ができたころは周囲は田んぼで、絵に見るようにこの土手がその中を直線に 一本作られた。現在は舗装された道になっているが、今でも右側の町並の横丁は坂に なっていて、下りきって見上げると舗装道は一段高くなっていて、土手のあったこと がよくわかる。 この図の中央、木立の向うに屋根の見えるのが吉原で、土手を右の方300メー トルほど行くと角に柳が一本あり、見返り柳といった。そこを左に折れると衣紋坂、 その先に大門という入口があった。それを入ると吉原で、中央が仲の町、左右に江戸 町・揚屋町・角町・京町・伏見町という五つの妓楼町があって、一日に現金が干両動 くという繁華さである。

  新吉原大門の左右に記された文字 「春夢正濃街桜雪」 「秋信先通両行燈 影」 明治14年(1881年)4月に建てられた鋳鉄製の堅牢な門 * 門柱には福地桜痴 (ふくちおうち)の骨太の書


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